庭蝉

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昨夜一声雁

2020/11/ 2


  さくや いっせいの かり

と読みます。ちょうど立冬前のこの時期に雁の群れが一斉に南下してくるわけですが、それを肉眼で確認できるのは明るい時間帯だったりしますよね。しかし、夜に一声雁の声を聞いた。それは気づかず聞き逃してしまう様な「くぇぇ」という僅かなサイン。。。


 陽が落ちるのが日に日に早まり、忙しなく現場を切り上げ置き場に戻りトラックのエンジンを止めると、周りの森は闇と共にひっそりと静まり返っていた。その時に遠くから聞こえた季節の報せだった。

 これは群れではない、先陣をきった斥候の一羽。冬の始を告げにやって来たかのような、遥かシベリアの凍る大地の吐息のような小さな一声を聞いたのだ。


 表題は昨夜一声雁。これは禅語としてよく茶掛などに使われる言葉です。対句になっていて、

昨夜一声雁 清風萬里秋  
さくやいっせいのかり せいふうばんりのあき

という流れです。閃きが走り、時代が大きく動いていく。という様な意味になっていますが、私はこの季節の侘しさを非常に端的に表していていいなぁといつも思うのです。


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 ほんの僅かな閃きをかたちにする遊びの

 その舞台になる場所を選びに選び抜いた

 まずこの地に坐します神様等に頼るのだ

明日は大勢の雁の群れがキレイな陣形を保ちながらこの空を超えて行くのだろう。

                  明日も良い日になる